遠方で相続手続きを行う場合の注意点
相続にまつわる手続きは、遠方に住んでいるとなかなかスムーズに進まないことがほとんどです。その日のうちに手続きが完了しないケースも多いため、自分だけで全てをこなすのは大変な作業になってしまいます。遠方から相続手続きを行うときの注意点をまとめました。
被相続人が遠方に居住していた場合の注意点
親族がみんな同じ地方に集まって暮らしている、ということは、現代では珍しくなってきています。そのため一か所に集まって遺産分割協議ができない、というケースも増えてきているのです。誰がどの遺産を受け取るのか決めなければ、手続きを進めることができません。遺産分割協議は全員の合意が必要になりますが、全員が顔を合わせて話し合う必要はありません。協議に参加できなくても、電話やメールのやりとりで合意をし、書類に印鑑を押せば大丈夫です。ただし、特定の相続人を無視して遺産分割協議を進めてしまった場合は、協議自体が無効になってしまいます。遠くに住んでいるからどうせ来られないだろう、と最初から連絡しなかったということのないようにしなければなりません。
相続放棄をするならタイムリミットに注意
被相続人が借金を残して亡くなった場合、相続放棄の手続きを行うことで返済義務を回避することができます。ただ被相続人が遠方に住んでいた場合は、手続きの進め方に注意が必要です。相続放棄は、亡くなった被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てしなければなりません。申立ては郵便でも可能ですし、申立てに必要な書類も全て郵便で集めることができます。ここで気を付けたいのは、相続放棄は相続を知った時から3か月以内に済ませなければならないという点です。書類集めに手間取ることも考えられるので、できるだけ早く準備することが大切です。
法定単純承認に注意
相続人が相続財産の一部あるいは全部を処分した場合、意思表示の有無に関わらず相続を承認したことになります。これを法定単純承認といいます。法定単純承認したとみなされれば、仮に遺産の中に借金があったとしても、もう相続放棄の申請をすることはできなくなってしまうのです。とはいえ、現実的に考えて、被相続人の遺したものに全く手を触れないままでいることは不可能です。どのような行為が遺産の処分に当たるのかは、過去の判例などを参考に決まります。例えば被相続人名義の口座のお金を、相続人が引き出した場合。自分のために使えば当然処分になりますが、被相続人の債務の弁済に充てた場合は処分ではなく保存行為に該当するとみなされることが多いのです。
分からないことは専門家に相談しよう
遠方からの相続手続きは迷ってしまうことが多いものです。相続放棄を考えているなら期限内に手続きを済ませなければならないため、よりスムーズな行動が求められます。自分では難しいと思ったら、司法書士などの専門家に相談して手続きを進めていきましょう。
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