相続が開始(故人の死亡)すると、実に様々な手続きが必要となってきます。また、手続きをするだけでなく、手続きごとに期限が定められているので、順序よくスムーズに進めていきましょう。
7日以内
死亡届の提出
死亡届を出すときは、死亡診断書というものが必要となります。死亡診断書を受け取ったら、死亡届に必要事項を記入して、死亡を知った日から7日以内(国外で死亡したときは、3ヶ月以内)に提出することが、法律で義務付けられています。
ただし、実際は死亡届を提出しないと火葬許可証が交付されず、葬儀ができないので、できるだけ早く(死亡した当日か翌日には)提出することになります。相続が開始(故人の死亡)すると、実に様々な手続きが必要となってきます。
提出は上記の届出人以外でも代行することができます。葬儀社に代行を依頼することもできます。
(1)届出先
死亡届を提出するのは、
- 死亡した人の本籍地
- 届出人の住所地
- 死亡したところ
のいずれがの市区町村役所の戸籍係になります。提出は24時間受け付けています。
(2)火葬許可申請書も同時に提出しましょう。
死亡届の手続を終えたら、火葬許可申請書に必要事項を記入して提出すると、火葬許可証が交付されます。火葬許可証は、火葬の際に火葬場に提出します。火葬終了後に認印を押されて返却され、これが埋葬許可証となります。この埋葬許可証がないと、埋葬納骨ができないので、喪主の方はきちんと保管するようにしましょう。
14日以内
世帯主変更届の提出
亡くなった人がその家の世帯主だった場合は、「世帯主変更届」を提出しなければなりません。提出先は、住所地の市区町村役所で、期限は、世帯主が亡くなった日から14日以内です。
但し、変更届を出さなくても良い場合もあります。夫婦2人暮らしで、その一方が亡くなり世帯員が1人になった場合や、遺族が母親と小さな子供といった場合のように、新しく世帯主となる人が明らかな場合は、提出の必要はありません。故人が世帯主以外の場合も必要ありません。
年金受給停止手続き
故人が受け取っていた国民年金や厚生年金をもらっていた場合は、死亡にともない、「年金受給権者死亡届」を提出して、受給を停止する手続をとらなければなりません。停止手続きは「本人の死亡から14日以内」にとらなければなりません。
健康保険の手続き
(1)国民健康保険資格喪失届
故人が国民健康保険の加入者だった場合、「国民健康保険資格喪失届」を提出するとともに、健康保険証を返却します。届出先は市区町村役所で、期限は死後14日以内です。
(2)その他の健康保険(健康保険組合、政府管掌保険組合、共済組合)
扶養家族が亡くなった場合は、勤務先に扶養控除異動の手続きをしてもらうことになります。本人が亡くなった場合、勤務先に保険証を返却・廃止手続きをすることになりますが、故人の被扶養者だった遺族は、国民健康保険に加入することになります。故人が世帯主でサラリーマン、遺族は故人の配偶者や子供などといった場合が該当します。その場合は、死後すみやかに市区町村役所に申し出る必要があります。
届出期限は、基本的にありませんが、資格喪失から14日以内とする市区町村がほとんどです。資格喪失から時間をおいて申請した場合でも、さかのぼって保険料の支払いを求められることがあります。その場合は、健康保険資格喪失の証明書と印鑑を持参します。
3ヶ月以内
遺品の整理
遺品の整理で気をつけたいのが、遺産相続の対象になるようなものについてです。遺産相続の対象になるようなものは、勝手に処分することはできません。整理しながらリストを作っておくと良いでしょう。
【遺産相続の対象になるもの】
故人名義の預貯金、不動産、動産類一式 など
※故人が契約していた生命保険で、受取人が相続人の名義になっているものは、相続財産には含まれません。但し、相続税の計算においては、みなし相続財産として相続財産全体に含まれます。
遺言書が出てきた場合
遺言書があるときは、公正証書遺言以外の場合は、できるだけ早く家庭裁判所に届けて検認の手続をとります。封印してある遺言書は、家庭裁判所で検認という手続をするまで、開封してはいけません。
特に期限が決められていないが、遺品の整理と同時に行った方が良い手続き
クレジットカードの退会届
できるだけ早く故人名義のカード類をチェックして発行元に連絡し、退会の手続をとりましょう。
公共料金(電気、ガス、水道など)
特に期限等はありませんが、すみやかに手続をしましょう。
住居の賃貸契約
故人が契約していた賃貸住宅も、名義変更の手続が必要となります。民間の場合は、家主に連絡します。公営の場合は、名義承継についての規定があるので、問い合わせをして必要な書類などを揃えて手続をします。借地の場合も、地主に連絡して名義の変更をします。
住宅ローンの手続き
住宅ローンを組まれる際には、基本的に生命保険に加入することになっています。いわゆる団体信用生命保険(通称 「団信」)です。団体信用生命保険は、住宅ローンの返済途中で死亡、高度障害になった場合に、本人において生命保険会社が住宅ローン残高を支払う制度です。ただし、早めに関係金融機関に連絡する必要があります。毎月、決まった月にローンが落ちていきますので、もしお亡くなりになられた後もローンが引き落とされていた場合は、その期間に引き落とされていた支払い分を返してもらいましょう。
高額医療費の還付請求
【遺産相続の対象になるもの】
健康保険 → 社会保険事務所または健康保険組合
国民健康保険 → 住所地の市区町村役所
【遺産相続の対象になるもの】
診療月の翌月の1日から2年
携帯電話の承継・解約
被相続人が携帯電話を所有していた場合、契約者が死亡したことになりますので、承継あるいは解約の手続を行います。手続期限はありませんが、すみやかに行ってください。必要書類は、承継の場合は、相続関係がわかる戸籍謄本、承継者の本人確認の書類。 解約の場合は、死亡診断書などの本人が亡くなったことがわかる書類。手続先は、各会社です。
不動産の移転登記、財産の名義変更
準確定申告(故人の確定申告)
準確定申告(故人の確定申告)
相続財産の確定・評価
不在者財産管理人などの選任(行方不明者)
特別代理人の選任(相続人の中に未成年者がいるとき)
遺産分割協議
遺産分割協議書の作成(協議が成立しない場合は調停・審判 )
相続税の申告・納付
生命保険金(死亡保険金)の請求
故人が生命保険に加入(被保険者)していたら、相続人は保険金を受け取ることができます。死亡保険金の請求の期限は、法律上は死後2年以内に請求しないと受け取る権利を失うことになっています。会社によっては、死後3年以内としている場合もありますが、すみやかに請求手続きをとりましょう。