相続基礎知識

相続とは

人は生きている間に財産を築きます。その人が死亡すると故人が作った財産を有効に利用するのが故人の遺志に適います。そこで法律は、故人の遺志の尊重という配慮から「相続」という制度を作りました。

みなさんにはまず、相続の基本をお伝えしておこうと考えております。

相続という言葉は日常耳にはするけど、実際にはまだ自分とは関係ないと思っていらっしゃる方も多いと思います。そういった方にも分かりやすく、少しでも相続について知識をつけていただければと思います。

相続財産の受け継ぎ方

相続人が複数いる場合の相続は大きく分けて次の3つの方法があります。

遺言書がある場合 故人が遺言書を作成していた場合は、遺言書の内容に従って相続する
遺産分割協議による場合 相続人全員の話し合いにより誰がどの割合で財産を受け継ぐのかを決めて相続する
法定相続による場合 遺言書がない場合、法律に定められたルールにより相続人各々が相続する

法定相続情報証明制度について

平成29年5月からスタートした新しい制度です。この制度は、法務局のサイト内では下記のように紹介されています。

相続手続が簡単に
現在、相続手続ではお亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を、相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要があります。法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。その後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。

簡単に言うと、今まで各金融機関等の窓口に大量の書類提出が必要だったのが、この制度を利用すると1枚の書類で手続きができてしまう、というものです。

法定相続情報証明制度の概要

申出ができる方

相続人であること、もしくはその代理人のみとされています。

相続人の代理人となることができるのは、法定代理人の他、

  • 民法上の代理人
  • 資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に限る)

です。

申出ができるケース

この制度は元々、全国各地に増えた空き家を減らすため、相続登記を促すために作られた制度です。
ただ、制度自体は、相続登記以外にも各金融機関等への手続にも利用できます。また、相続財産に不動産がなく、金融機関の預貯金のみの場合でも利用することが可能です。

法定相続情報証明制度のメリット

手間が大幅に省ける

今まで、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の相続手続、保険金の請求・名義変更手続、有価証券の名義変更手続などを行う際、必要な書類を各窓口にそれぞれ提出する必要がありました。

特に大変なのが、故人の出生から死亡までの戸籍謄本等、相続人全員の戸籍謄本一式です。必要な枚数を事前に確認した上で取得しておかないと、後から新たな口座が出てきた時などに追加で取得するのがとても大変です。

しかし、事前に登記所(法務局)に戸籍謄本等を提出して「法定相続情報一覧図」を取得すれば、戸籍謄本を取得しなくても手続きが可能になりました。

何度も無料で発行できる

法定相続情報一覧図は作成後、法務局に保管を申し出ることにより、以後5年間は無料で何枚でも交付を受けることができます。戸籍謄本は1枚取得するごとにお金がかかりますので、口座が複数あったり土地があちこちにある場合などは、金銭的負担が軽減できます。

また、戸籍謄本は提出後、原則として原本を返却してもらえるので、1つずつ順番に手続きを進めていく方法もありますが、時間がかかります。提出先は公的機関のため土日に行けず、仕事をしている方だととても大変です。

デメリット

一部の機関では対応できていない

まだ新しい制度のため、法務局と大手金融機関以外では、まだ対応できていない機関があります。また、金融機関での運用については各機関の判断に任されており、運用が義務化されていないため、利用できるかどうか事前に確認が必要です。

相続税申告書の添付資料には利用できない

相続税の申告の際にも、戸籍謄本一式を添付する必要がありますが、こちらはまだ「法定相続情報一覧図」を利用することができません。そのため、相続税の申告が必要な方は、「法定相続情報一覧図」作成用に1枚、相続税の申告用に1枚と、戸籍謄本を2枚準備する必要があります。

故人・相続人の中に外国籍の方がいると利用できない

「法定相続情報一覧図」作成のために戸籍謄本等の提出が必要なため、外国籍の方が1人でもいるとこの制度を利用することができません。

法定相続情報一覧図の作成も代行しています
司法書士は、相続登記や法務局提出書類作成の専門家です。戸籍謄本の取得から一覧図の作成、写しの交付などを代行しております。1度作成しておけば、5年間は無料で交付を受けられるため、万が一新たな預金口座が見つかった際なども迅速に対応が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。