遺言書による相続登記に必要な登記原因証明情報とは?
遺言書による相続登記を申請するためには、必要書類の一部として登記原因証明情報をを添付しなければなりません。
以下では、そもそも登記原因証明情報とは何かについて解説し、遺言書による相続登記で必要な登記原因証明情報について具体的にみていきます。
登記原因証明情報とは
登記原因証明情報とは、登記原因を証明するために必要な情報のことをいいます。登記の申請の際には添付情報の1つとして提供するのが原則とされています。相続登記の場合には、被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、遺言書などの登記原因証明情報を提供して、被相続人の死亡年月日や相続人の確定、相続分などを証明します。
登記原因情報は、売買や贈与などの共同申請の場合には私文書でも構いませんが、相続のような単独申請の場合には、原則として市区町村が発行する公文書を提供する必要があります。つまり、被相続人の死亡した事実や相続人が誰であるかの確定は、公文書である戸籍謄本等でなければ認めらないということです。
遺言書による相続登記で必要な登記原因証明情報
遺言書による相続登記の登記原因証明情報には、当然、遺言書が必要になります。遺言書が公正証書遺言以外の遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続を受ける必要があり、登記申請の際には、検認手続証明書付きの遺言書を添付します。
遺言書以外の登記原因証明情報は、被相続人に関するものとして、被相続人の死亡年月日が分かる戸籍謄本の他、相続人に関するものとして、相続開始後に発行された相続人の戸籍謄本が必要になります。相続人の戸籍謄本は、相続人全員分を用意する必要はなく、遺言書により指定された相続人のものだけで構いません。
登記原因証明情報を用意する際の注意点
登記原因証明情報は申請する登記の内容によって異なるので、自分が申請する登記にどのような登記原因証明情報が必要なのか、事前にチェックしておくとよいでしょう。相続登記の場合には被相続人及び相続人の戸籍謄本や遺言書など登記原因証明情報が多岐にわたることが多いので、特に気をつけなければなりません。また、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認がなければ登記の申請は却下されてしまうので注意が必要です。なお、戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などの登記原因証明情報は、相続関係説明図を添付すれば、登記完了時にこれらの原本を還付してもらえます。
相続登記では書類の不備に気をつけて
相続登記を申請する際には、登記原因証明情報などの添付書類に不備がないか気をつける必要があります。
添付書類に不備がある場合には、補正の対象となり、不備を補完して申請し直さなければなりません。補正を避けるために、申請前に法務局の相談窓口で書類に不備がないか確認しておくとよいでしょう。
※令和2年7月10日から始まった自筆証書遺言書保管制度によって法務局へ預けた遺言書については、家庭裁判所での検認の手続きは不要となります。