相続

相続した銀行預金の名義変更手続きとは

預金者が死亡すると、預金者名義の口座は凍結され、入出金は行えません。これを相続するためには、名義の書き換え手続きを行う必要があります。相続人が複数存在する、通帳が見当たらない場合なども含め、手続きの手順や必要書類について知り、相続をスムーズに進めましょう。

 

銀行預金は誰がどんな割合で相続するのか?

 

預貯金については、長らく法が定める算定法に従い、自動的に分割、帰属するものとされてきました。しかし2016年12月に決定された判例変更により、遺産分割の対象財産となるとされています。
簡単に言うと、銀行預金は他の財産と同じように分割相続が可能、ただしその算定は預金の解約後、生前に行われた贈与などを考えに含めたうえで行いなさいということです。
順位はまず配偶者と第一順位の法定相続人(子供)で、割合は配偶者が2分の1、子供が残りの2分の1を人数で頭割りして相続します。該当する人物がいなかった場合は、法が定める順位に従って相続と分割が可能です。

 

相続人が複数いる場合の名義変更手続きは?

 

相続人が複数いる場合、名義変更手続きを行うには、まず遺産分割協議を行い、相続分を決定しなくてはなりません。このとき、遺産分割協議書を作成しておきます。遺産分割協議書とは、相続人全員が相続の内容と遺産の分割について同意したことを記すものです。
書面は手書きでもPC出力でも構いませんが、相続人の住所や生年月日、最後にする署名は手書きにし、押印には実印を使用します。コピーは避け、原本を相続人の人数分だけ用意しましょう。
実際の手続きには、このほかに以下の書類が必要になります。被相続人の預金通帳、キャッシュカード、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書です。これに銀行に備え付けの「預金名義書き換え依頼書」などの書類を添えて手続きを行います。

 

預金通帳がない場合は手続きできないのか?

 

預金の名義変更手続きには、原則として通帳が必要です。しかし被相続人の通帳が見つからない、という事態は珍しくありません。そのような場合は、銀行指定の用紙(相続届など)にその旨記入することで、名義変更の手続きが可能です。用紙には通帳の有無を記入する欄と紛失欄があり、こちらにチェックを入れ、紛失の旨と被相続人の口座番号を記入します。キャッシュカードも紛失していた場合も、同じようにチェックと記入を行ってください。
口座番号がわからない場合は、銀行に口座照会を行いましょう。銀行名すら不明という場合には、思い当たる銀行のすべてに照会を行わなくてはなりません。

 

手続きは手順を踏んで確実に。わかりにくい場合は専門家に相談を

 

まとめると銀行預金の相続、つまり名義の変更の手順は以下のようなものとなります。まずは相続の内容と分割割合に対する相続人全員の合意(遺産分割協議)です。次に遺産分割協議書の原本を相続人の数だけ作成し、他の必要書類とともに銀行に提出して手続きを行います。
実際の振り込みについては銀行により取り扱いが異なるので注意してください。もしもわからないことがあれば、司法書士などの専門家に相談しましょう。