相続手続きについて司法書士にできること
相続の手続きは複雑で、細かく区分すると90種類以上あります。様々な機関と個別にやり取りをする必要があるため、全ての手続きを相続人のみで正確に行う事は困難です。
そのため、司法書士へ相続手続きに関するサポートを依頼する事が有効です。今回は、司法書士が行う相続人へのサポート内容を紹介していきます。
相続調査
亡くなった人の財産は、法律に基づき財産を受け取る権利者全員に適切に分配する必要があります。そのため、被相続人の出生後全てが連続した戸籍謄本や除籍謄本や改正原戸籍等を取り寄せ、相続人として財産を受け取る権利がある人は誰かを漏れなく探すための相続調査が必要です。相続漏れの発生を防ぐ事を目的とした重要な調査であるため、相続調査には様々な書類が必要となり、専門知識が求められます。
この手続きは、司法書士に依頼することが可能です。相続のプロからサポートを受けることで、正確で円滑に手続きを進めることができます。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、被相続人の遺産をどのように分割するかを記載した書類です。相続人それぞれの相続内容を書面に残す事で、トラブルの回避や、相続を証明する書類としての効力が期待できます。
司法書士が遺産分割協議書の作成のみを代行することは、以前は他の法律の制限を受けて代行不可能となる場合があったため注意が必要でした。しかし司法書士法は改正され、財産管理業務も司法書士の業務範囲だと認められるようになり、司法書士ができることの範囲が以前より大きく広がりました。そのため現在は、相続の財産管理業務である遺産分割協議書の作成も、司法書士による代行が可能です。
相続登記
不動産の所有者が亡くなった際、被相続人から相続人へ登記名義を変更する手続きが、相続登記です。 遺産の中に不動産がある場合、遺産分割協議書の作成と併せて、相続登記をする必要があります。これらの一連の手続きは、一括して司法書士に依頼することが可能です。司法書士は、戸籍謄本等の書類の取得や遺産分割協議書の作成を相続登記の付随業務として行う事ができます。それぞれ別の専門家へ依頼する必要はありません。例えば、遺産分割協議書の作成は行政書士へ、相続登記のみを司法書士へと別々に依頼した場合、費用が割高になる可能性があります。相続登記が必要な場合は、遺産分割協議書の作成と併せて司法書士に依頼する事が、手続面でも費用面でも最適です。
司法書士に相続手続きを依頼するメリット
このように、相続において幅広い種類の手続を、司法書士へ依頼する事ができます。複雑な手続きをプロの手に任せる事により、相続時に発生する事が多い家族間の金銭トラブルを未然に防止する事に繋がったり、さらに時間と手間を大きく削減する事ができるなど、多くのメリットがあります。
相続手続きは、状況によって必要な手続きや書類が大きく異なります。どの手続きにどの書類の徴求が必要かを把握するだけでも、知識がないと大変な作業です。書類の取得漏れがあれば、その都度手続きのやり直しが必要になります。書類作成にあたっても、法律に従った書き方を調べる必要があります。このような複雑で専門知識が必要な手続きを司法書士に任せる事で、正確でスピーディな相続手続きが実現します。