相続人が遠方に居住している際の相続登記の注意点
相続登記する際には、相続人全員の意見が一致する必要が出てきます。しかし相続人が必ずしも全員近い場所に住み、滞りなく手続きが終わるケースばかりではありません。
この記事では、民法で定められたところの相続人が遠方に居住しているケースにおいて、相続登記の際にどのような注意点があるのを解説しました。
相続人全員で行う必要がある手続きとは
もし被相続人が正式な遺言を遺しているのであれば、遺言執行者が「法定相続人」全員に対して遺言執行者本人がその仕事に就任したことを知らせる必要が出てきます。しかし遺言が無ければ「法定相続人」全員集まって、遺産分割協議を行っていくことになるのです。また遺言書がない場合には、遺された遺産をどのように分けるかについて相続人全員で話し合い、意見の一致をみてから「遺産分割協議書」という書面にまとめる手続きを行っていくことになります。そのための相続手続き第一歩としては、相続人調査をするケースがあります。これは最初に「法定相続人」が誰なのかをはっきりと確定させる必要があるため、相続人全員の調査することを指しているのです。
相続人が遠方に住んでいるときのトラブル
想定されるトラブルとして、既に遺産分割協議を開く前の段階までに遺産を渡したくない相続人の一人に被相続人の死亡を知らせない、などが考えられます。そうして行われた遺産分割協議は相続人全員という条件を満たしていないので、当然無効になってしまうのです。また法定相続人が高齢だったり遠方に居住していたりすると、ただでさえまとまり難い遺産分割協議がスムーズに進まず時間がかかることも考えられます。遺産相続には期限を伴う手続きも存在していますから、その期限が過ぎてしまうと借金を背負ったり相続税の申告が間に合わなかったりなどといったトラブルが起こる場合もあるでしょう。
遠方の相続人に相続登記への協力を求めるには
遺産分割協議をして結果をまとめて、相続人全員の実印による捺印と印鑑証明がなければ、不動産を名義変更するための相続登記ができません。例えば海外に住んでいる相続人であっても同様に、捺印と印鑑証明(または、署名証明書など)が必要になってくるのです。
相続人全員が近場に住んでいれば、一通の遺産分割協議書を郵送でやり取りして手続きをしていく方法が多くなります。しかし遠方の相続人に対して電話連絡等で遺産分割協議を行っていくのであれば、「遺産分割協議証明書」と呼ばれる全員同じ内容の書面を人数分準備して該当する相続人全員に書類を郵送し、署名捺印をして送り返してもらう形を取っていくことになるでしょう。どちらの方法であっても実印による捺印と印鑑証明が必須となるため、重要書類のやりとりには記録が残る書留郵便を使うといった注意が必要になってきます。
遺産分割協議書完成までの道のりとは?
相続登記のための「遺産分割協議書」作成には相続人全員の捺印と印鑑証明が必ず必要です。法定相続人が高齢だったり遠方に居住していたりすることで、期限を伴う手続きをするのが困難を伴うケースもあります。また重要書類の扱いに関しては、慎重さが大切になってくるでしょう。