相続放棄

相続放棄を司法書士に依頼する場合のメリット|弁護士や税理士と比較

 

相続放棄の手続きを行う場合、「自分でできるのか」「専門家に頼むべきか」で悩む方は多いです。相続放棄の期限は「相続を知った日から3か月以内」と短いため、スピードと正確さが求められます。
そこで今回は、司法書士に相続放棄を依頼した場合のメリットを詳しく解説します。また、弁護士・税理士との違いや費用相場、依頼の流れなどを詳しく解説するため、初めて相続放棄を行う方はぜひ参考にしてください。

目次

相続放棄で司法書士に依頼できることとは?

司法書士に依頼できない内容

相続放棄を司法書士に依頼する場合の費用相場

司法書士と弁護士、税理士を比較

弁護士にできることと依頼するメリット

税理士にできることと依頼するメリット

相続放棄を司法書士に依頼するメリット

正確な書類作成が可能

時間や複雑な作業の手間が省ける

期限内に確実に手続きが進められる

精神的な負担が軽減される

相続放棄を司法書士に依頼する場合の流れ

1.相談とヒアリングを行う

2.必要書類の案内と提出

3.相続放棄申述書の作成と提出

4.家庭裁判所での審査と照会

5.相続放棄の受理と通知

6.必要に応じて他の相続人や債権者への通知

相続放棄完了までの期間の目安

相続放棄後の財産管理義務について

相続放棄後も一時的に管理が必要な理由

管理義務の範囲と注意点

相続放棄を司法書士に依頼するのがおすすめなケース

相続にトラブルがなく、手続きをスムーズに終わらせたい場合

書類作成や裁判所提出に不安がある場合

戸籍謄本や住民票の取り寄せが面倒な場合

財産や借金の状況がはっきりしない場合

相続放棄の期限(3か月)が迫っている場合

相続人が複数いて、全員の放棄をまとめて行いたい場合

相続放棄の依頼は「大阪相続相談センター」へ

 

相続放棄で司法書士に依頼できることとは?

 

司法書士は、相続放棄の手続き面を専門的にサポートする法律実務家です。家庭裁判所に提出する書類の作成や戸籍などの収集、申述書の代行提出など、依頼者の事務的負担を大幅に軽減します。司法書士に依頼できる内容は、主に以下のとおりです。

司法書士に依頼できる内容
  • 相続放棄に関する初回相談・制度説明
    相続放棄の制度内容や注意点、他の制度(限定承認など)との違いを説明し、手続き方針を一緒に検討します。
  • 戸籍謄本・除籍などの収集代行
    相続放棄では、被相続人の死亡時や出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。遠方や複数の自治体にまたがる場合でも、司法書士が郵送請求を代行して揃えてくれます。
  • 相続放棄申述書の作成
    家庭裁判所に提出する正式な書類を作成します。記載ミスや添付漏れがないよう、法律の形式に基づき整備します。
  • 相続放棄申述受理通知書の確認と保存方法の案内
    受理後に届く通知書の扱い方、他の相続人や債権者への連絡手順も案内します。

このように、司法書士は相続放棄を進めるための実務面を全般的にサポートします。期限や書類の準備に不安がある人にとって、心強い専門家といえます。

司法書士に依頼できない内容

司法書士は、法律に基づいて活動している国家資格者ですが、家事事件について弁護士のような「代理権」や「交渉権限」は持っていません。したがって、相続放棄に関しても、一定の範囲を超える行為は行うことができません。
司法書士に依頼できない内容は、以下のとおりです。

司法書士に依頼できない内容
  • 相続人同士の争い・遺産分割交渉の代理
    相続をめぐって他の相続人と意見が対立している場合、司法書士は間に入って交渉することはできません。こうした争いが発生している場合は、弁護士への依頼が必要です。
  • 債権者との交渉や和解
    「放棄した後も支払いを求められている」、「借金の一部だけ返したい」など、金銭トラブルを含む交渉も司法書士の業務範囲外です。
  • 家庭裁判所での代理行為(訴訟・調停など)
    司法書士は家庭裁判所で依頼者の代わりに発言したり、調停を進めたりすることはできません。相続放棄申立書の提出は「代行」として行えますが、「代理」とは異なります。
  • 税務に関する手続きや相談
    相続税の申告、遺産の評価、税務署への届出は税理士の業務範囲です。税金面の相談は、司法書士ではなく税理士に依頼します。

つまり、司法書士は「家庭裁判所に提出する書類を正確に整える専門家」であり、トラブル解決や税務処理は、別の専門家と連携して進める必要があります。

相続放棄を司法書士に依頼する場合の費用相場

司法書士への依頼費用は、依頼内容や地域によって多少異なりますが、一般的には3万円〜5万円前後が相場です。以下に、相続放棄の料金相場と内容の内訳を解説します。

相続放棄の相場金額と内容の内訳

項目 相場金額 内容
相続放棄申述書の作成 2〜3万円 家庭裁判所に提出する書類の作成
戸籍・除籍謄本などの収集代行 5,000〜10,000円 郵送請求・役所とのやり取りを代行
家庭裁判所の印紙・郵送費 約2,000円 収入印紙・切手・封筒代など
相談料 無料〜5,000円 初回相談(無料対応の事務所も多い)

 

また、家族複数人で依頼する場合、2人目以降は報酬を1万円前後値引きしてもらえる事務所もあります。たとえば、夫婦や兄弟が同時に相続放棄をする場合、手続きをまとめて行えるため、コストを抑えられます。
司法書士事務所によっては、「書類作成のみ」「申立代行付き」「照会書サポート込み」などのプランを用意しており、自分の状況に合わせて選択できます。なお、費用の支払いは手続きが完了後に後払い、または分割払いが可能な場合もあるため、初回相談時に見積もりを出してもらうと安心です。
司法書士への相続放棄依頼は、費用を抑えつつ確実に終わらせたい人に適した選択肢といえるでしょう。

司法書士と弁護士、税理士を比較

相続放棄を依頼する際は、司法書士・弁護士・税理士のどの専門家に相談するかによって、できることや費用が大きく異なります。司法書士は書類作成と申立の代行が中心、弁護士はトラブル対応まで含めた法的代理、税理士は税金面のサポートに特化しています。
それぞれの特徴を明確に理解しておくことで、無駄のない依頼が可能になります。以下の表は、それぞれ士業の代表的な項目をまとめたものです。

司法書士と弁護士、税理士の比較

比較項目 司法書士 弁護士 税理士
相続放棄申述手続きの代行 ○(書類作成・提出代行) ○(代理可・裁判対応可) ✕(業務範囲外)
戸籍謄本等の取得 ○(代行可能) ○(代理可能) ○(税務目的に付随して取得可)
遺産分割協議書作成 ○(争いのない場合) ○(代理・調停対応可) △(税務申告目的に限る)
遺産調査・債務調査 △(照会・調査可) ○(交渉・照会・調査可) ○(財産評価・税務調査)
争いのある相続・訴訟対応 ✕(代理不可・裁判書類作成としては可) ○(代理・法廷出廷可能) ✕(非対応)
特徴 書類作成の正確さ・スピードに強い。争いのない手続きに最適。 法的トラブルや訴訟対応が可能。紛争解決力に優れる。 税金や財産評価に強く、税務リスクを防ぐ。
費用目安 約3万〜8万円前後 約10万〜20万円前後 約5万〜10万円前後

 

司法書士は、相続放棄のような「争いのない家庭裁判所手続き」を中心にサポートします。申述書の作成・提出や戸籍の収集などを正確に行ってくれます。費用は比較的安く、コストパフォーマンスが高い点が魅力です。
弁護士は、法的代理権を持つため、他の相続人や債権者とのトラブル・訴訟を伴うケースでも安心して任せられます。交渉・調停・裁判まで一貫して対応できるため、複雑な事案では弁護士が最適です。
税理士は、相続放棄そのものは行えませんが、放棄による税務上の影響や相続税の申告、節税対策を専門的に支援します。財産評価が難しい相続(不動産・株式など)や税金面での最適化を図りたい場合に適しています。
このように、相続放棄の「目的」によって最適な専門家は異なります。手続きを早く確実に終えたいなら司法書士、トラブルや法的対立がある場合は弁護士、税金リスクを回避したい場合は税理士を選ぶとよいでしょう。

弁護士にできることと依頼するメリット

弁護士は、相続放棄を含むあらゆる法律問題において、依頼者の代理人として手続きを進めることができます。司法書士との最大の違いは「代理権」を持っている点であり、家庭裁判所への申立だけでなく、トラブルを含む複雑な案件にも対応できることが特徴です。相続放棄の手続きに関して弁護士ができることは、主に次のような内容です。

相続放棄で弁護士ができること

  • 家庭裁判所への相続放棄申立の代理提出
  • 他の相続人や債権者との交渉や調停への出席
  • 遺産分割協議や訴訟の対応
  • 借金問題を含む債務整理との連携対応
  • 法的書類や証拠書類の作成・提出サポート

このように、弁護士は「手続きの実行」だけでなく「トラブル解決」を目的とした包括的な支援が可能です。たとえば、被相続人に多額の借金がある場合や相続放棄をめぐってほかの家族と意見が対立している場合にも対応してもらえます。
弁護士が代理人として交渉を進めることで、依頼者は直接関わる必要がありません。法的な保護を受けながら、安心して手続きを完了できることが最大のメリットです。費用は司法書士より高額になる傾向がありますが、紛争リスクを避けたい人や訴訟に発展する可能性がある場合には、弁護士に依頼することで確実で安全な対応が期待できます。

税理士にできることと依頼するメリット

税理士は、相続放棄そのものの申立手続きを行うことはできません。しかし、相続放棄に伴う税務面での影響を分析し、最適な節税方法や申告手続きを提案してくれる専門家です。相続放棄では、財産を受け取らないからといって、税務上の手続きが不要になるわけではありません。
相続放棄によって、ほかの相続人の課税額が変わる場合は、生前贈与との関係で課税関係が発生することもあります。税理士が行うサポート内容には、次のようなものがあります。

 

相続放棄で税理士ができること

  • 相続税・贈与税の発生有無の確認と試算
  • 放棄による税務上の影響(課税額の変動や控除額の適用)の説明
  • 被相続人の準確定申告や未処理税務の対応
  • 相続放棄後に残る財産の評価や税務署への届出支援
  • 他の相続人を含めた相続税対策の提案

とくに、不動産や株式など評価が難しい資産を含む相続では、放棄の有無によって税額が大きく異なります。税理士に相談することで、相続放棄後の税務リスクを明確にし、余計な税負担を避けられます。
また、相続放棄を検討する段階で、ほかの専門家と連携し、法務と税務の両面から支援を受けることも可能です。税理士は、法的な手続きではなく「数字と税制の面」から相続放棄を支える存在であり、税金に関する不安を抱えている人、財産の規模が大きい家庭には有効な専門家といえます。

相続放棄を司法書士に依頼するメリット

司法書士は、弁護士や税理士と比べて費用を抑えつつ、手続きの正確さ・スピード・安心感を兼ね備えた専門家です。ここでは、司法書士に依頼することで得られる4つの代表的なメリットを紹介します。

正確な書類作成が可能

家庭裁判所への申述書類には、細かな形式や記載ルールがあります。たとえば「続柄」「本籍地」「被相続人の氏名」などが一文字でも違えば、家庭裁判所から差し戻されることがあります。
また、必要書類が、揃っていないと受理されません。司法書士は、こうした形式要件を熟知しており、不備のない状態で確実に申述書を完成させることができます。
さらに、照会書が届いた場合も、過去の事例を踏まえた回答例を提示してくれるため、ミスや誤解を防げます。「自分でやってみたけど不安」という方ほど、司法書士のサポートによる安心感を実感できるでしょう。

時間や複雑な作業の手間が省ける

相続放棄を自分で行う場合、戸籍や除籍の収集、申立書の作成、郵送、照会書の返送など、想像以上に作業量が多くなります。とくに戸籍は複数の役所にまたがることが多く、平日に仕事を休んで手続きを進めなければいけません。
司法書士に依頼すれば、これらの煩雑な作業をすべて代行してくれるため、依頼者は書類への署名・押印だけで済みます。役所とのやり取りや書類チェックも司法書士が行うため、時間的・精神的な負担を大幅に削減できます。仕事や家庭の事情で手続きに時間を割けない人にとって、大きなメリットです。

期限内に確実に手続きが進められる

相続放棄の申述期限は、「相続が発生したことを知ってから3か月以内」です。この期間を過ぎると自動的に「単純承認」となり、借金などの負債まで相続してしまう可能性があります。司法書士はこの期限を正確に把握し、最短ルートで書類を完成させるスケジュールを立ててくれます。
さらに、必要であれば「熟慮期間の伸長申立書」を家庭裁判所に提出し、期限を延長する対応も可能です。こうした期限管理と迅速な行動は、個人で行うよりもはるかに確実で安全です。

精神的な負担が軽減される

相続放棄の手続きは、身内の死という心理的ショックの中で行うことが多く、精神的にも非常に大きな負担となります。司法書士に依頼すれば、書類の準備や提出、進捗管理を全て任せることができるため、不安や焦りを感じる場面がほとんどありません。
また、照会書の内容や裁判所からの通知など、分かりにくい部分を分かりやすく説明してもらえることで、常に安心して手続きを進められます。専門家が伴走してくれるという心強さは、何よりのメリットです。
「自分ひとりでは不安」「確実に終わらせたい」という方にとって、司法書士への依頼は現実的で効果的な選択といえます。

相続放棄を司法書士に依頼する場合の流れ

司法書士に相続放棄を依頼する場合、手続きは6つの段階で進みます。初回相談から相続放棄申述受理通知書が届くまで、おおよそ1か月半から2か月半が目安です。それぞれの流れと司法書士のサポート内容を順に説明します。

1.相談とヒアリングを行う

まず、司法書士に相続放棄を依頼したい旨を伝え、被相続人との関係や財産・借金の有無、相続人の人数、相続発生からの経過期間などを確認します。司法書士は、相続放棄が可能かどうかを判断し、場合によっては限定承認や単純承認など他の方法が適していないかも検討します。
放棄が適切と判断された場合は、費用の見積もりとスケジュールを提示し、今後の手続き方針を一緒に決定します。この段階で全体像を把握しておくと、後の手続きがスムーズに進みます。

2.必要書類の案内と提出

相続放棄には、家庭裁判所に提出するための書類を揃える必要があります。被相続人の戸籍や除籍、住民票除票、申立人の戸籍謄本など、複数の役所から取り寄せる必要があります。
司法書士は、どの書類をどの役所で取得するか、どの範囲まで必要かを具体的に案内します。本籍地が遠方にある場合や複数の自治体に戸籍が分かれている場合でも、郵送請求を司法書士が代行できるため、依頼者は印鑑と本人確認書類を用意するだけで済みます。これにより、平日に役所へ行く手間を省くことができます。

3.相続放棄申述書の作成と提出

必要書類が揃ったら、司法書士が家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を作成します。この書類には細かい記載ルールがあり、誤記や添付漏れがあると受理されません。司法書士は、家庭裁判所の書式や審査傾向を踏まえて、正確で受理されやすい形に整えます。
依頼者は内容を確認し、署名と押印をして提出します。司法書士は法律上「代理人」として裁判所に出頭できませんが、提出の「代行」は可能です。多くの場合、郵送での手続きで完了します。

4.家庭裁判所での審査と照会

家庭裁判所では、提出された書類の内容に不備がないかを審査します。問題がなければ、申立人宛に照会書が郵送されます。照会書には、「なぜ相続放棄をするのか」「相続財産を処分していないか」といった質問が記載されています。
司法書士は、この照会書への回答方法もサポートしてくれます。どのように回答すれば誤解を招かないか、どの部分を明確に記載すべきかなどをアドバイスしてもらえるため、不受理になるリスクを防げます。

5.相続放棄の受理と通知

照会書の返送後、約2週間で家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が郵送されます。これは、相続放棄が正式に認められたことを示す重要な書類であり、債権者や他の相続人に放棄を証明する際に必要です。司法書士は、通知書の保管方法や今後の対応についても説明してくれます。受理通知書が届いた時点で、家庭裁判所での手続きはすべて完了です。

6.必要に応じて他の相続人や債権者への通知

相続放棄が受理された後は、ほかの相続人や債権者にその事実を伝えることで、後のトラブルを防ぐことができます。債権者が相続放棄を知らずに請求を続けることを防ぐためにも、通知は重要です。
司法書士は、通知書の書き方や送付方法も案内してくれるため、安心して対応できます。内容証明郵便を利用するなど、記録が残る形で通知しておくとより確実です。このように、司法書士に依頼すれば、最初の相談から受理通知書の取得までを一貫してサポートしてもらえます。
自分で行う場合に比べて、時間と労力を大幅に減らすことができ、期限内に確実に手続きを完了させられます。

相続放棄完了までの期間の目安

相続放棄の手続きは、相談から家庭裁判所での受理まで、一般的に1か月半から2か月半ほどかかります。ただし、戸籍収集の手間や家庭裁判所の混雑状況によっては、3か月程度になることもあります。
最初の相談とヒアリングには1〜2日、戸籍などの必要書類の収集には1〜2週間ほど要します。その後、相続放棄申述書の作成と提出を行い、家庭裁判所が審査を開始します。照会書が届くまでに2週間前後、照会書を返送してから「相続放棄申述受理通知書」が届くまでさらに2週間が目安です。
全体としては、早ければ4〜5週間、ゆとりを持って進める場合は2か月程度で完了します。書類不備や期限切れなどを避けるためにも、できるだけ早めに司法書士へ相談することが大切です。

相続放棄後の財産管理義務について

相続放棄を行うと、法的には相続人ではなくなりますが、放棄の直後には一時的な「財産管理義務」が発生する場合があります。この義務は、相続財産が次の相続人や債権者に正式に引き継がれるまで、財産を損なわないよう保全するためのものです。
被相続人の家屋や車、通帳、貴重品などを放置すると損壊や盗難のリスクが生じるため、一時的に管理する責任が課せられます。この制度は民法によって定められており、必要に応じて相続財産清算人制度が利用されることもあります。

相続放棄後も一時的に管理が必要な理由

民法第940条(令和3年改正、令和5年4月1日施行)では、相続放棄をした者のうち、相続財産を現に占有している者は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存しなければならないと定められています。
改正前は、放棄者に広く「善良な管理者の注意義務」が課されていましたが、現在は義務の対象が「現に占有している財産」に限定され、注意義務の程度も自己の財産と同一の注意義務へと整理されています。
したがって、放棄をしても直ちにすべての責任がなくなるわけではありませんが、管理義務は限定的なものとなっています。
家の鍵を閉めて不法侵入を防ぐ、預金通帳や印鑑を安全な場所に保管するなど、現に占有している財産を損なわないよう維持する行為が求められます。

管理義務の範囲と注意点

管理義務の範囲は、あくまで現状を維持するための最小限の行為に限定されます。建物の戸締まりを行う、重要書類を保管する、公共料金の滞納による不利益を防ぐために一時的に支払うといった行為は認められます。
一方で、財産を売却したり、預金を引き出したり、借金の返済をするような行為は処分行為とみなされ、相続放棄の効力が無効になるおそれがあります。つまり、相続放棄後は財産を守ることはできても、動かすことはできません。
管理の範囲を超えるかどうか判断に迷う場合は、司法書士や弁護士に相談し、家庭裁判所の指示を仰ぐことが安全です。相続放棄の効力を確実に維持するためには、この管理義務を正しく理解し、慎重に対応することが重要です。

相続放棄を司法書士に依頼するのがおすすめなケース

相続放棄は、期限が短く書類の内容も複雑なため、自分で進めるには相当の手間と知識が必要です。初めて手続きを行う人や時間的な余裕がない人にとっては、負担が大きいものです。
以下では、司法書士への依頼が向いている代表的なケースを紹介します。

相続にトラブルがなく、手続きをスムーズに終わらせたい場合

家族や兄弟間で争いがなく、シンプルに相続放棄だけを済ませたい場合は、司法書士に依頼することで効率的に進められます。司法書士は、相続放棄の申述書作成から、家庭裁判所への提出、書類の整合性チェックまで一貫して対応してくれます。
依頼者は申述書に署名して印鑑を押すだけで、面倒な作業をすべて任せられます。さらに、裁判所への申立を郵送で行うこともでき、わざわざ出向く必要がありません。書類不備による差し戻しや期限超過を防ぎながら、確実に放棄を成立させられます。
司法書士は、家庭裁判所の運用や書式の癖を熟知しているため、最短で受理される形に整えられます。法的知識がなくてもスムーズに手続きを終えられることが、司法書士依頼の最大のメリットといえます。

書類作成や裁判所提出に不安がある場合

相続放棄に必要な書類は一見簡単そうに見えても、細かな要件や記載ルールを守らなければ家庭裁判所では受理されません。記入漏れや添付書類の不備があると、照会書のやり取りが増え、結果的に受理までの時間が延びてしまいます。
司法書士は、これらの手続きを正確かつ迅速に行うノウハウを持っており、書類の完成度を高めることでスムーズな受理を実現します。また、家庭裁判所から送られてくる「照会書」に対しても、どのように回答すべきか具体的なアドバイスを受けられるため、誤解を招かずに対応できます。
裁判所により求められる情報が違う場合にも、司法書士がその違いを踏まえて最適な内容に整えてくれるため、全国どの裁判所でも安心して手続きを進められます。初めて相続放棄を行う方にとっては、ミスなく進められる大きな安心感があります。

戸籍謄本や住民票の取り寄せが面倒な場合

相続放棄に必要な戸籍謄本類の収集は、想像以上に複雑です。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍、除籍、改製原戸籍を揃える必要があり、これらが複数の自治体にまたがって存在する場合も多くあります。
本籍地の役所ごとに請求する必要があり、郵送請求に時間がかかるため、仕事をしている人には大きな負担です。司法書士は、必要書類のリストアップと取得手順を明確に提示してくれるだけでなく、代理で郵送請求を行うことも可能です。
さらに、依頼前に不足しやすい書類を事前にチェックしてもらえるため、提出後に差し戻されるリスクがありません。時間が限られている人、遠方の戸籍を取り寄せる必要がある人にとって、司法書士の代行サービスは非常に心強い味方となります。

財産や借金の状況がはっきりしない場合

相続放棄を検討する際には、被相続人の資産や負債を正確に把握することが欠かせません。しかし、口座の残高や借金の有無をすぐに確認できないケースも多く、判断を誤ると「借金を相続してしまう」という深刻な結果を招くこともあります。
司法書士は、金融機関や信用情報機関への照会、関係資料の整理を通じて、相続財産の全体像を把握するサポートをしてくれます。また、マイナスの財産が多い場合でも、放棄以外に「限定承認」という選択肢があることを説明し、最適な判断を一緒に検討してくれます。
必要に応じて弁護士や税理士と連携し、複雑なケースにも対応できるのが司法書士の強みです。迷っている段階から相談することで、誤った判断を防ぎ、安全で確実な方法を選ぶことができます。

相続放棄の期限(3か月)が迫っている場合

相続放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に行わなければならないという厳しい期限があります。この期間を過ぎてしまうと、借金を含むすべての財産を相続したことになり、後から放棄することは原則できません。
すでに2か月以上が経過している場合、戸籍収集や書類作成を自力で行うのは極めて困難です。司法書士に依頼すれば、すぐに必要書類の手配を開始し、申述書を最短で完成させることができます。
また、事情によっては「熟慮期間の伸長申立」という救済措置を家庭裁判所に提出できる場合があり、その判断を的確に行えるのも司法書士です。スピード対応に加え、期限切れリスクを避けるための代替策も提案してもらえるため、時間に追われる状況でも確実に放棄を成立させることが可能です。

相続人が複数いて、全員の放棄をまとめて行いたい場合

相続人が複数いる場合、全員が別々に手続きを行うと、書類の内容や提出時期にズレが生じ、家庭裁判所での処理が遅れる原因となります。司法書士に依頼すれば、全員分の書類を一括で作成・管理してもらえるため、整合性を保った状態で申立を進めることができます。
また、代表者を立てて司法書士と連絡を取ることで、家族全員が同時に放棄を完了させることも可能です。さらに、債権者や金融機関への通知も司法書士がサポートしてくれるため、全員の放棄手続きを一括で整理できます。
家族が離れて暮らしている場合や兄弟・親族が多い場合でも、司法書士が窓口となって一元管理することで、手続きの煩雑さを最小限に抑えられます。全員での放棄を確実に進めたい場合には、効率的で安全な方法といえます。

相続放棄の依頼は「大阪相続相談センター」へ

相続放棄は、たった一枚の書類の違いで「受理されない」「期限切れ」などの重大なトラブルにつながることがあります。しかし、司法書士に依頼すれば、こうしたミスをすべて防ぎ、期限内に確実に完了させることができます。
大阪相続相談センターでは、経験豊富な司法書士が、初回相談から書類作成・申立・受理確認まで丁寧にサポートしています。「期限が迫っている」「自分でやるのが不安」という方は、早めに相談することをおすすめします。無駄な手間を省き、安心して相続放棄を完了させたい方には、司法書士の専門サポートは最適な選択です。

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