遺言

決まりを守らないと無効!遺言書の書き方

いざというときのために遺言書を書かれている方、もしくはこれから書こうと思っている方がいるかもしれません。自分の意思を伝えるために遺言書を残すのはいいことですが、決まりに則った書き方でないと法的に無効となってしまいます。間違いが起きないように、正しい遺言書の書き方をご紹介します。

 

遺言書とは

遺言書は、遺産の処分に、故人の意思を反映させることが目的で書かれます。遺言の形式には主に次の3つがあります。
自筆証書遺言:遺言者が自筆で残す遺言書です。
公正証書遺言:遺言者が相談して、公証役場の公証人が作成する遺言書です。
秘密証書遺言:遺言者が自筆して、公証役場で保管してもらう遺言書です。
自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合、遺族は遺言書を見つけたら、開封する前に遺言書を家庭裁判所に提出して検認手続きを行う必要があります。検認は遺言書の偽造や改ざんを防ぐための手続きで、遺言書の有効・無効を判断するものではありません。検認を行う前に遺言書を開封してしまったら、5万円の過料の支払いを求められます。ですが、遺言書が無効になるわけではありません。
令和2年7月10日からは法律の改正により「自筆証書遺言書保管制度」が開始されており、法務局に自筆証書遺言書を預けることができるようになりました。法務局に預けた自筆証書遺言書は家庭裁判所で検認を行う必要はありません。

 

遺言書の書き方の例

テレビの法律番組などでは遺言書が無効になり、相続トラブルが起きたというケースも紹介されています。これは遺言書の書き方に不備があったため、法的効力がなかったのです。このような問題は遺言者が自筆する、自筆証書遺言と秘密証書遺言に見られます。
そんなトラブルを避けるために、正しい遺言書の書き方の例文を以下に記します。

遺言書

遺言者、山田太郎は次の通りに遺言する。
1.遺言者は次の財産を、妻山田花子(〇〇〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。
土地
所在:岡山県倉敷市〇〇町
地番:〇〇〇番〇〇
地目:宅地
地積:〇〇平方メートル
建物
所在:岡山県倉敷市〇〇町〇〇〇番〇〇
家屋番号:〇〇番〇
種類:居宅
構造:木造2階建て
床面積:1階〇〇平方メートル
2階〇〇平方メートル
2.遺言者は次の銀行預金を、長男山田小太郎(〇〇〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。
〇〇銀行××支店定期預金口座番号1234567
3.遺言者は、この遺言の執行人として長男山田小太郎を指名する。

〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
遺言者山田太郎 印

 

自筆証書遺言書を書くときの注意点

自筆証書遺言書を自分で作成する場合は、すべて自筆で書くことが大原則です。PCから印刷したものは無効です。
遺言の内容は具体的に書きましょう。相続させる土地は、所在、地番、地目、地積を明記します。住宅の場合も、所在、家屋番号、種類、構造、床面面積を明記し、登記簿の通りに記載します。銀行預金を相続させる場合は、銀行名、支店、預金の種類、口座番号を記します。
また、遺産の処分を任せる、遺言の執行人を指名したほうが相続が滞りなく進みます。
遺言書の最後には、遺言書を作成した日付、遺言者の氏名、押印が絶対に必要です。押印はなるべく実印で行うのがいいです。
作成した遺言書は、封筒に入れて封をします。
なお、財産目録に関しては、法律の改正によって平成31年1月13日から、パソコンなどで作成したものや通帳のコピーなど自筆でないものを添付することが可能となりました。ただし、自筆ではない財産目録を添付する場合は、全てのページにつき署名押印が必要です。また、使用する用紙については特に指定はないため、どのような紙でも大丈夫です。

 

遺言書は決まりを守って書こう

自分が望むように遺産を相続させたくても、作成した遺言書が無効になってしまったら意味がありません。遺言書を作成するときは、自筆すること、そして、遺言書の作成日、遺言者の氏名、押印が必須になります。内容も具体的に書きましょう。遺言を無駄にしないために、ポイントを抑えて、正しい遺言書を残すようにしましょう。また、公正証書で遺言書を作成しておくと後から遺言書が無効になる可能性がほとんどなくなります。

 

公正証書遺言や自筆証書遺言、法務局に対する遺言書保管に関することは、大阪相続相談センター(天馬司法書士事務所)までお気軽にご相談下さい。