相続手続きを早くするメリット
相続に関する手続きはある程度流れが決まっています。これをスムーズに終わらせられれば、相続人にとってはとても大きなメリットです。相続手続きをだらだらと進めてしまい、期限までに終わらずに不利益を受けないよう、相続手続きとその準備には早くとりかかりましょう。
・目次
相続手続きの流れ
相続は、被相続人が亡くなった段階で始まります。相続手続きは以下のような流れで行います。
- 被相続人が亡くなる
- 遺言書があるかどうか確認
(自筆遺言で自宅などに保管していた場合は検認を行います)
- 相続人の調査
- 相続財産の調査と把握
- 相続方法を確定
- 所得税の準確定申告
- 遺産分割協議
- 相続税計算
- 申告と納税
- 名義変更など
相続手続きの期限
それぞれの相続手続きには期限がありますので確認しておきましょう。
相続放棄と限定承認は3ヶ月以内
「相続手続きの流れ」の「相続方法を確定」で選択する「相続放棄」と「限定承認」は、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。ただし、相続財産があまりにも多いなど、何らかの事情がある場合は、期限延長の申し立ても可能です。
所得税の準確定申告は4ヶ月以内
所得税の準確定申告は、被相続人の所得を税務署へ申告する手続きです。すべての相続人が、この準確定申告を、相続が始まってから4ヶ月以内に行う必要があります。
ただし、準確定申告を行う必要のない場合もあります。詳しくは国税庁のホームページにて確認してください。
・確定申告が必要な方
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
相続税の申告と納付は10ヶ月以内
準確定申告同様、すべての相続人に必要な手続きではありませんが、基礎控除額を超える額の財産を相続する場合は、相続が始まった日から10ヶ月以内に相続税を申告・納付する必要があります。
相続税を期限内に納付できない場合は、延納や物納という方法もありますが、条件をクリアしないとこれらの方法での納付は認められません。
・10万円以上納税する必要がある
・一括納付が困難な事情がある
・100万円以上納税する必要がある、または3年以上の延納期間で担保を用意できる
ただし、利子税や延納できる期間は、相続財産の中身や担保の内容で異なります。
生命保険金の請求は3年以内
被相続人が生命保険に加入していた場合、指定の受取人は保険金を請求できます。しかし、生命保険金の請求には時効があり、3年以内に請求しないと保険金を受け取れなくなる場合があります。
相続登記は3年以内
相続により不動産を取得したら、名義変更(相続登記)する必要があります。これまでは法律上義務化されていませんでしたが、2024年4月1日以降は、相続を知ってから3年以内に相続登記することが義務づけられます。罰則もあるので注意しましょう。
相続手続きを早く済ませないと不利益を被る可能性がある
相続手続きをスムーズに終わらせられれば、気持ちの整理もつきますので、相続人にとっては大きなメリットです。逆に相続手続きをスムーズに終わらせることができないと、相続人はさまざまな不利益を被る可能性があります。
たとえば、相続税の申告と納付を期限内に行わなかった場合、「小規模宅地等の特例」「配偶者の税額軽減」など、多くの税金優遇制度が使えなくなってしまいます。
さらに、相続税の申告と納付を期限内に行っていないわけですから、当然ながら延滞税が加算されるため、事情があったとしても、相続税の申告と納付は期限内に済ませるよう努力しましょう。
手続きを放置しているうちに相続人が亡くなり、さらに複雑な相続手続きになってしまうことも考えられます。
銀行の相続、相続登記、相続放棄など、相続手続きに関することは大阪相続相談センター(天馬司法書士事務所)までお気軽にご相談下さい。