相続放棄相続登記

遠隔地で相続が生じた際の注意点

遠方の親が亡くなって不動産の相続が発生するが、どのように手続きをしたらよいか分からないことがあります。遠方の不動産をどのように相続すればよいか、基本的な流れを説明するとともに、相続放棄や売却時に注意すべき点を紹介します。

 

遠方の不動産を相続した場合の流れ

 

不動産を相続する際に、親と別々に住んでいた場合など遠方の不動産を相続することがあります。今後住む予定がなく、売却する意思がある場合であっても、相続人として名義変更が必要です。相続登記の流れは、法律で定められた持ち分に従うか、相続人全員の協議に基づいて行いますが、遠方だからという理由で相続登記をせずに放置したままでいると、他の相続人が亡くなった場合に承継者が増えてしまい、相続人全員との協議が煩雑になったり、余分に費用がかかることがあります。不動産相続が決まった時点で早めに手続きを取ることが大切です。

 

相続放棄する場合に注意したい3か月の期限

 

遠隔地にある不動産の相続を放棄したい場合に、相続放棄という選択肢があります。相続放棄の期限は、相続人であることを知ってから3か月以内で、期限を過ぎてしまうと原則として相続放棄ができなくなるため、分かった時点で早めに所定の手続きを取ることが重要です。例外規定として、負債があることを知らなかった場合や、知り得る状況になかったなど特別な事情があった時は、家庭裁判所に申述書を提出することで3か月の期限が過ぎても相続の放棄が認められることがあります。一方、相続財産を処分したり名義変更を行うと、遺産相続を合意したとみなされるため、相続放棄をする場合は不動産には手を付けないようにしましょう。なお、不動産だけを相続放棄することはできません。

 

遠方の不動産を売却する際の相続登記手続き

 

親の不動産を売却したい場合、管轄する法務局に相続登記に関連する書類を申請する必要があります。2005年の不動産登記法の改正により、登記業務のオンライン化が認められ、遠方の不動産であっても、所轄の法務局にオンラインで申請し、必要書類の郵送が可能になりました。そのため、直接法務局に出向かなくても登記申請が可能です。また、相続人が海外在住だった場合は、従来の書類に加えて、自身の現住所を証明した在留証明書と、印鑑証明の代わりに添付する署名証明などを準備することで相続登記の手続きができるようになったので、忘れずに覚えておきましょう。

 

相続が分かった時点で早めの手続きを

 

遠隔地の不動産でも、不動産登記法の改正で所轄する法務局へのオンライン申請が可能です。親の不動産を受け継ぐことになったら、早めに相続するかどうかを検討し、相続放棄や売却の際に困ることがないように最善の策を取るようにしましょう。