相続開始後の遺産承継とは?
故人の遺産を相続する時に行わなくてはいけない法律上の手続きの一つに遺産継承がありますが、一般的に聞き慣れない言葉で内容について詳しく知らない人も少なくありません。今回は、遺産承継の内容や手続きの流れについてご紹介します。
遺産承継とは何か
遺産承継とは故人が何らかの財産を残していた場合に、権利を持っている相続人に財産を譲るための手続きになります。遺産承継の主な手続きとしては、不動産の名義変更(相続登記)や株式も口座・金融機関など個人口座の通帳の解約、名義変更といったことです。不動産の種類によってそれぞれ手続きをする場所や必要になる書類も違うので複数の財産を残していた場合には気を付けなくてはいけません。この遺産承継の手続きは個人でも行えますが、専門的な知識や時間と労力が必要ですので、自信がないという人は弁護士や司法書士といった法律に携わる専門家に依頼をして代理で手続きをしてもらうこともできます。
遺言書がある場合の遺産承継の流れ
故人の遺産を相続する遺産承継の手続きを行う時、最初に確認しなくてはいけないのが遺言書の有無で、これによって手続きが大きく異なります。もし遺言書が残されていれば、記されている内容に沿って遺産を分配するのが基本的な流れですが、遺言書が故人自ら書いた自筆証書遺言である場合、この遺言書はすぐに開封してはいけません。自筆証書遺言書はまず最初に家庭裁判所で検認という手続きを行なうことが法律で定められています。この検認作業は他の人が勝手に内容を変更するといった不正を防止するのが目的です。この検認を行なわないと相続登記や預金の通帳の相続の手続きを行なうことができません。万が一検認の前に勝手に開封してしまうと5万円以下の過料が科せられることもあるので注意が必要です。なお、公正証書遺言である場合、検認の手続きは必要ありません。
遺言書がない場合の遺産承継の流れ
もし故人が生前に遺言書を作成しておらず相続の権利を持つ人間が複数いる場合には、法律に定められた内容で相続をするか、または誰が相続するかについて遺産分割協議という話し合いを行わなくてはいけません。分割協議についての期限はありませんが、あまり先延ばしにしてしまうと相続対象の人が亡くなったりしてしまう場合があります。そうなると新たに相続人が増えて話が複雑になることも考えられるので、できる限り速やかに行なうことが大切です。
基本的な流れとしては、まず戸籍などの調査によって正式な相続人を確定させて財産の内容(不動産、債務の有無)を調べます。その後、権利を持っている人に相続の意思があるかを確認する遺産分割協議を行います。話し合いによって誰が相続するかが決まったら、遺産を相続しその後相続した遺産に対する所得税や相続税を支払うことで手続きは完了になります。
親族同士のトラブルを避けるために専門家への相談も選択に入れる
遺産は残された家族にとってありがたい物である反面、誰が譲り受けるかでトラブルになるケースも少なくありません。こういったトラブルを避けるためにも、しっかりと話し合って進めていくことが大切です。話し合いがこじれたり個人で判断できない時は専門家に相談することも必要になります。